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秩父宮記念スポーツ博物館・図書館
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アクセス
■所在地
東京都新宿区霞ヶ丘町10番2号
03-3403-1159
■最寄り駅
・JR総武線(各駅停車)
千駄ヶ谷駅下車 徒歩5分
・JR総武線(各駅停車)
信濃町駅下車 徒歩8分
・東京メトロ銀座線 外苑前駅下車
徒歩15分
・都営地下鉄大江戸線
国立競技場駅下車(A2出口)
徒歩1分 |
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今回は、ウィンターオーバーシーディング方式とはどんな手法で、それが国立競
技場の芝生をどのように変えていったかをお話していきたいと思います。
その前にまず、ウィンターオーバーシーディング方式をより深く理解していただ
くために、芝生の豆知識をお教えしましょう。
芝生は大きく分けて二つに分類されます。一つは暖地型芝(*注 生育適温25〜
35℃)と、もう一つは寒地型芝(生育適温16〜24℃)で、これらの芝生の
生育が旺盛な季節を表現して「夏芝」、「冬芝」と呼んだりします。ここではそ
れぞれを「夏芝」、「冬芝」と表記していきたいと思います。
*注 生育適温とは、植物が最もよく生育する気温のこと。
夏芝は、生育適温を見てもわかるとおり、夏に最もよく成長し、冬には茶色く枯
れてしまいます。枯れているといっても、前回お話したように、表面上だけが枯
れ、地中の根や茎には栄養を蓄え、休眠するのです。暖かくなり始める春先から
少しずつ活動を始め、夏に最もよく成長します。もう一つの特徴は繁殖の仕方で
す。夏芝は、ほふく茎又は根茎と呼ばれる茎を地上あるいは地下から伸ばして、
地表面を覆うように繁殖します。
冬芝は、夏芝とは逆に生育適温が低く、秋季から春季にかけて最もよく成長しま
す。繁殖方法は種子で繁殖します。
それでは、ウィンターオーバーシーディング方式について説明したいと思います。
ウィンターオーバーシーディングとは、簡単に言うと二毛作を連想していただく
とわかりやすいでしょう。二毛作は、同じ耕地(畑)に年2回、別々の作物を作
付けする手法で、夏季に水稲を栽培し、秋季から冬季にかけて大麦や、小麦を栽
培したりします。同様に競技場の芝生も夏季に夏芝、秋季から春季にかけて冬芝
の種を蒔くことにより、一年中緑の生きた芝生を育てることができるのです。
文章で書くと、簡単な事のように思われますが、現在のような美しい芝生になる
までには、いろいろな苦労がありました。
実際にグラウンドにウィンターオーバーシーディングを実施したのは、平成元年
です。今までは夏芝としか付き合いのなかったグラウンドキーパーとしては、冬
芝の存在は未知の世界だったのです。「冬芝とはどんな草なのか?」専門書やゴ
ルフ場から知識を得て、場内に実験圃場を作り、冬芝の特性を2〜3年かけて観
察し、やっと冬芝は国立競技場の仲間入りを果たしたのです。
今までは「冬に芝生が茶色いのは当たり前」と思われていたわけですから、寒い
冬に緑の芝生が敷き詰められた光景を見た選手、競技関係者、そして観客など、
競技場に訪れた全ての人々が感嘆し感動したことでしょう。サッカー元日本代表
選手で監督でもあった、故渡辺正さんが競技場を訪れた時は、緑色の芝生を指差
し、「ありがとう…。」と言いながら、グラウンドキーパーとともに涙したそう
です。
グラウンドが変わることによって、そこで繰り広げられるプレーも変化していき
ました。芝生があることによって、ボールがスムーズに転がり、イレギュラーが
少なくなり、ダイレクトパスで展開していくサッカーが可能となったのです。
冬に緑色のグラウンドを作ったとき、グラウンドキーパーは思いました。「もう
2度と元には戻れない。新しい時代が来た。」それはまるで禁断の果実を食べて
しまった、未知の世界に入り込んだ、そんな期待感と不安感の始まりでした。そ
れ以来、冬芝は「緑の悪魔」と呼ばれるようになり、国立競技場の顔として現在
に至っています。
(続く)
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